「月額換算」とは、年間の金額を1か月あたりに直すことです。パートやアルバイトで家族の扶養に入っている人には、健康保険の扶養の「年収130万円未満」を月額に直した「月108,333円以下」の形でよく出てきます。この記事では、年齢ごとの月額基準、時給・日給からの換算方法(架空の記入例つき)、2026年4月に始まった労働契約での判定、2026年10月に撤廃された「月8.8万円」の要件までを、日本年金機構と国税庁の公表資料をもとに金額つきで整理しました。
30秒でわかる答え
- 健康保険の扶養は年間収入130万円未満が基準。月額では108,333円以下、雇用保険の失業給付などは日額3,611円以下です(日本年金機構)。
- 19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は150万円未満(月125,000円未満)、60歳以上や一定の障害がある人は180万円未満(月150,000円未満)です。
- 扶養の「年収」は過去の実績ではなく、これから1年間の見込み。2026年4月からは、給与だけの人は労働条件通知書の時給・時間・日数で判定でき、契約にない残業代は含めません。
- 勤め先で社会保険に入る基準だった「月額8.8万円以上」は2026年10月1日に撤廃。今は週20時間以上などの要件で決まります。
- 税金の扶養は月額ではなく1月〜12月の合計で判断します(令和8年分は給与収入136万円以下が配偶者控除・扶養控除の目安)。
2026年10月12日時点の日本年金機構・国税庁の公表資料で確認。加入している健康保険組合によって運用が異なる場合があります。

写真:Corpse Reviver/Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
年収を入れると、賞与込み・賞与なしの月額がすぐわかります。扶養の月額基準と比べるときの下計算に使えます。
月額換算とは?何のために使う?
月額換算とは、年間の金額を12で割って1か月あたりに直すことです。扶養の判定では「年収130万円未満」を「月108,333円以下」に直し、毎月の給与で基準を超えていないかを確かめるために使います。年の途中で働き始めた人や、働く時間が変わった人でも、月の金額で考えれば判断しやすくなります。
健康保険の扶養でいう「年間収入」は、去年の収入ではなく、扶養に入る時点からのこれから1年間の見込みです(日本年金機構)。たとえば4月に働き始めたパートの人なら、1月〜3月の収入がゼロでも、4月以降の月給が12か月続くと考えて判定します。だからこそ「月いくらまでなら大丈夫か」という月額の目安が役に立ちます。
月額換算は、給与明細の「総支給額」(手取りではなく、税金や社会保険料を引く前の金額)で考えます。扶養の判定では交通費(通勤手当)も収入に含まれるので、通勤手当がある人は手当込みの金額で比べてください。
扶養の月額基準はいくら?年齢別の早見表
多くの人は年130万円未満=月108,333円以下です。19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は月125,000円未満、60歳以上や一定の障害がある人は月150,000円未満まで広がります。大学生の子どもとそれ以外では、同じ働き方でも扶養から外れるかどうかが変わるということです。
| 扶養に入る人 | 年間収入の基準 | 月額換算(給与・年金など) | 日額換算(失業給付など) |
|---|---|---|---|
| 下記以外(配偶者、19歳未満の子、23〜59歳の家族など) | 130万円未満 | 108,333円以下 | 3,611円以下 |
| 19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く) | 150万円未満 | 125,000円未満 | 4,167円未満(150万円÷360日) |
| 60歳以上、または障害厚生年金を受けられる程度の障害がある人 | 180万円未満 | 150,000円未満 | 5,000円未満(180万円÷360日) |
19歳以上23歳未満かどうかは、扶養に入る日が属する年の12月31日時点の年齢で判定します(日本年金機構)。たとえば11月に19歳になる子なら、その年は150万円の基準です。150万円の基準が使えるのは扶養認定日が2025年10月1日以降の分です。
注意したいのは、失業給付(雇用保険の基本手当)も収入に含まれることです。日額3,612円以上の基本手当を受け取り始めたら、扶養から外れる届出が必要になります。退職して家族の扶養に入る予定の人は、手当の日額を先に確認しておきましょう。
時給・日給から月額換算するには?【計算の記入例】
時給×1週間の所定労働時間×52週で年額を出し、12で割れば月額になります。通勤手当など毎月決まった手当があれば、それも足します。同じ「週20時間」でも、時給が150円違うだけで扶養の内か外かが分かれることがあります。
次の3人はすべて架空の例です。いずれも給与以外の収入はなく、労働条件通知書に書かれた条件で計算しています(1年=52週として計算した目安)。
| 計算の欄 | 見本 花子さん(45歳・配偶者の扶養) | 見本 太郎さん(20歳・大学生・親の扶養) | 見本 春子さん(38歳・配偶者の扶養) |
|---|---|---|---|
| ① 時給 | 1,150円 | 1,200円 | 1,300円 |
| ② 週の所定労働時間 | 20時間 | 22時間 | 20時間 |
| ③ 通勤手当(月額) | 5,000円 | なし | なし |
| ④ 年額=①×②×52週+③×12 | 1,196,000円+60,000円=1,256,000円 | 1,372,800円 | 1,352,000円 |
| ⑤ 月額=④÷12 | 104,666円 | 114,400円 | 112,666円 |
| ⑥ 基準(月額) | 108,333円以下 | 125,000円未満 | 108,333円以下 |
| 判定の目安 | 基準内 | 基準内(130万円の基準なら超える) | 基準超え |
春子さんの場合、週20時間のまま扶養に収まるには、時給を約1,250円以下にするか、週の時間を約19時間に減らす計算になります(1,250円×20時間×52週=130万円ちょうどは「未満」に入らないため、実際はもう少し下)。逆に言えば、時給が上がった年は、同じシフトのままでも扶養から外れることがあります。昇給の通知を受けたら、その時点で月額を計算し直すのが安全です。
日給の人は「日給×週の所定労働日数×52週」、月給の人は「月給×12」に、賞与や手当の年額を足して考えます。賞与がある人は、月給だけで比べると年額が基準を超えていても気づけないので注意してください。年収を月額に直すだけなら、上の計算機で賞与込み・賞与なしの両方を出せます。
2026年4月から、扶養の年収は「労働契約」で判断できる
2026年4月1日以降、給与収入だけの人は、労働条件通知書などに書かれた賃金から見込まれる年間収入が130万円未満なら、原則として扶養に入れます。契約に書かれていない残業代などの臨時収入は含めません。繁忙期の残業で一時的に月額が基準を超えても、契約の内容が基準内なら扶養から外れにくくなったということです。

写真:円周率3パーセント/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
日本年金機構によると、この取り扱いでは「被扶養者(異動)届」に次の2つを添えます。
- 労働契約の内容がわかる書類(労働条件通知書、雇用契約書、または労働条件が書かれた事業主の証明)
- 扶養に入る本人の「給与収入のみである」旨の申立書(届書の扶養に関する申立書欄に、本人の申立てと氏名を書けば添付は不要)
ただし、次のような場合は契約書類から年収を計算できないので、この方法は使えず、これまでどおり給与明細や課税(非課税)証明書で判定されます。間違えやすいのは3つ目で、「通勤手当有」とだけ書かれた通知書は金額がわからないため対象外です。
- 扶養に入る日から数えて、契約期間が1年未満
- 「シフト制による」など、労働時間の書き方がはっきりしない
- 「通勤手当有」など、手当の金額がはっきりしない
契約の時給や時間で計算するので、先ほどの記入例の①〜④がそのまま判定の材料になります。シフト制で働いている人は、勤務先に週の所定労働時間と手当の金額を書いた通知書を出してもらえるか、扶養の手続きの前に相談しておくと話が早く進みます。
「月8.8万円(106万円の壁)」はどうなった?
勤め先の社会保険に入るかどうかを決めていた「所定内賃金が月額8.8万円以上」の要件は、2026年10月1日に撤廃されました。今後は月額ではなく、週20時間以上働くかどうかなどで加入が決まります。「月8.8万円を超えないように時間を調整する」という考え方は、10月からは当てはまりません。
| パート・アルバイトが勤め先の社会保険に入る要件 | 2026年9月まで | 2026年10月から |
|---|---|---|
| 賃金(所定内賃金が月額8.8万円以上) | 必要 | 撤廃 |
| 週の所定労働時間が20時間以上 | 必要 | 必要 |
| 勤め先の規模(厚生年金の被保険者51人以上の企業など) | 必要 | 必要(2027年10月からは36人以上) |
| 学生ではない | 必要 | 必要 |
たとえば、従業員が51人以上の会社で時給1,150円・週20時間(月額の目安は約99,666円)のパートの人は、これまでも8.8万円を超えていたため加入の対象でした。変わるのは、時給が低めで月8.8万円に届かなかった週20時間以上の人です。こうした人も10月からは勤め先の健康保険・厚生年金に加入する対象になり、その場合は家族の扶養(130万円の基準)からは外れます。
社会保険に入ると保険料が引かれて手取りは減りますが、将来の厚生年金が増え、病気やけがで休んだときの傷病手当金なども受けられるようになります。月額で「壁」を考える時代から、週の時間で加入が決まり、扶養は年収見込みで決まるという2本立てに変わったと整理しておきましょう。
税金の扶養も月額で考えていい?
いいえ。所得税の配偶者控除・扶養控除は、その年の1月〜12月に実際に受け取った給与の合計で判断します。令和8年分は、給与だけなら給与収入136万円以下が目安です(国税庁)。月額は社会保険の扶養(健康保険)を考えるための数字で、税金とは基準も数え方も違います。

写真:Drivephotographer/Wikimedia Commons(CC0)
| 健康保険の扶養 | 所得税の扶養(配偶者控除・扶養控除) | |
|---|---|---|
| 見る期間 | これから1年間の見込み | その年の1月〜12月の実績 |
| 基準(給与のみ) | 130万円未満(月108,333円以下)など | 給与収入136万円以下(令和8年分) |
| 通勤手当 | 含める | 非課税の範囲なら含めない |
| 失業給付 | 含める(日額3,611円以下) | 含めない(非課税) |
たとえば、ある月だけ残業で給与が12万円になっても、税金の扶養は年間の合計が136万円以下に収まれば影響はありません。健康保険の扶養も、2026年4月からは契約の内容で判定できる場合があります。1か月の金額だけを見て慌てて働く時間を減らす必要はない、というのが月額換算を正しく使うための一番のポイントです。年末調整で家族の分を申告するときは、配偶者控除等申告書の書き方や扶養控除等申告書の書き方、大学生の子なら特定親族特別控除申告書の書き方もあわせて確認してください。
この記事のポイント
- 月額換算は年額÷12。健康保険の扶養は年130万円未満=月108,333円以下(19〜22歳は月125,000円未満、60歳以上などは月150,000円未満)。
- 時給×週の時間×52週+手当で年額を出す。週20時間なら、時給1,250円前後が130万円の分かれ目。昇給したら計算し直す。
- 2026年4月から、給与だけの人は労働条件通知書の内容で扶養を判定できる。契約にない残業代は含めない。
- 「月8.8万円」の加入要件は2026年10月1日に撤廃。社会保険の加入は週20時間などで決まる。
- 税金の扶養は1〜12月の合計で判断(令和8年分は給与収入136万円以下)。月額だけで判断しない。
よくある質問
1か月だけ108,333円を超えたら、すぐ扶養から外れますか?
一時的に超えただけで、すぐに外れるとは限りません。扶養の年収は今後1年間の見込みで判断し、2026年4月からは契約にない残業代などを含めずに判定できる場合もあります。超える状態が続きそうなら、勤務先や加入している健康保険に相談してください。
月額は手取りと総支給額のどちらで見ますか?
総支給額(税金や社会保険料を引く前の金額)で見ます。健康保険の扶養では通勤手当も含めます。
ボーナスがある場合の月額換算は?
扶養の判定では、月給と賞与を合わせた年額で考えます。月給だけを12倍すると賞与の分が抜けるので、年額を出してから12で割ってください。
健康保険組合でも基準は同じですか?
年収の基準(130万円・150万円・180万円)は共通ですが、必要な書類や確認の方法は健康保険組合ごとに違うことがあります。家族が加入している健康保険組合の案内を確認してください。
この記事は、日本年金機構・国税庁の公表資料をもとにした一般的な情報です。実際の扶養の認定は、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)が行います。
公式情報・出典
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」(2026年10月12日確認)
- 日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」(2026年10月12日確認)
- 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」(2026年5月1日更新、2026年10月12日確認)
- 日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました」(2026年10月12日確認)
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(2026年10月1日更新、2026年10月12日確認)
- 国税庁「No.1191 配偶者控除」(2026年10月12日確認)