大学生など19〜22歳の子のアルバイト収入が年136万円を超えると、親は扶養控除(特定扶養親族)を受けられなくなります。その代わりに使えるのが、令和7年分から始まった特定親族特別控除です。年末調整で受けるには、基礎控除申告書などと1枚になった兼用様式の「特定親族特別控除申告書」の欄を書きます。国税庁の令和8年分の記載例をもとに、架空の親子で欄ごとに埋めていきます。
30秒でわかる答え
- 対象は、平成16年1月2日〜平成20年1月1日生まれ(令和8年末に19〜22歳)で、あなたと生計を一にする子など。配偶者は対象外です。
- 子の給与が136万円以下なら扶養控除(63万円)なのでこの欄は書かず、136万円超197万円以下なら特定親族特別控除の欄を書きます。
- 控除額は子の所得に応じて63万円〜3万円。子の給与が159万円以下なら63万円で、扶養控除と同じ額です。
- 書くのは、子の氏名・個人番号・続柄・生年月日・所得の見積額・控除額。別居の子は住所も書きます。
- 税とは別に、19〜22歳の子が健康保険の扶養に入れる年収は150万円未満です。
最終確認日:2026年10月6日/主な出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」「令和8年分 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書の記載例」、タックスアンサーNo.1177

19〜22歳の子のアルバイト収入が年136万円を超えても、197万円以下なら親は特定親族特別控除を受けられます(写真は東京都新宿区の早稲田大学早稲田キャンパス)。写真:Kakidai/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
この記事の対象:大学生・専門学校生など19〜22歳の子がいて、子のアルバイト収入が年136万円を超えそうな会社員・公務員。勤務先から令和8年分の年末調整の書類を渡された人。
特定親族特別控除申告書とは?誰が書く?
19〜22歳の子などの所得が62万円を超え123万円以下のとき、親が年末調整で特定親族特別控除を受けるための申告書です。子の所得が62万円以下なら扶養控除の対象(特定扶養親族)なので、この欄は書きません。収入が増えて扶養控除から外れても、控除がいきなりゼロにならないようにするための仕組みです。
| 子の給与収入(令和8年分) | 子の所得 | 親が受ける控除 | 年末調整で書く書類 |
|---|---|---|---|
| 136万円以下 | 62万円以下 | 扶養控除(特定扶養親族)63万円 | 扶養控除等申告書 |
| 136万円超197万円以下 | 62万円超123万円以下 | 特定親族特別控除 63万円〜3万円 | 特定親族特別控除申告書(この記事) |
| 197万円超 | 123万円超 | なし | — |
特定親族に当たるのは、あなたと生計を一にする6親等内の血族・3親等内の姻族(配偶者を除く)と、いわゆる里子で、年齢は令和8年12月31日時点で判定します。一人暮らしの大学生でも、仕送りで生活費をまかなっていれば「生計を一にする」に当たります。青色事業専従者として給与をもらっている子や、白色申告の事業専従者である子は対象外です。
書く前に:子の収入の見込みを出す
まず、子が令和8年の1月から12月までに受け取るアルバイト代の合計を見積もります。控除額は子の所得85万円から先は5万円刻みで変わり、見積もりが数万円ずれるだけで控除額が10万円単位で変わることがあるからです。

写真:m-louis .®/Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)
- すべてのバイト先の給与明細(1月〜直近分)を集めます。掛け持ちしている場合は全部の勤務先の分を足します。
- 12月に支給される予定の分(11月勤務分を12月に受け取る場合など)も見込みに入れます。
- 非課税の通勤手当(交通費)は収入に含めません。
- 給与の収入から74万円を引いた額が所得です(令和8年分、給与収入74万1,000円以上219万1,000円未満の場合)。
- 給与以外の所得(フリマ・ネット販売の雑所得など)があれば、その所得も足します。
子どもに確認するときは「月にいくら」ではなく「1月から12月に振り込まれる合計」で聞くのがコツです。月11万円でも、12月にまとめて支給される分や夏休みの集中シフトがあると、年間で136万円を超えることは珍しくありません。
記入例の前提(架空の親子)
ここからは、次の架空の親子で令和8年分の特定親族特別控除申告書を埋めます。長女のアルバイト収入は165万円で、扶養控除の対象からは外れますが、特定親族特別控除で51万円を受けられるケースです。
| 人物 | 生年月日(令和8年末の年齢) | 令和8年の収入見込み | 所得の見積額 |
|---|---|---|---|
| 本人 田中誠(会社員) | 昭和48年9月14日(53歳) | 給与650万円 | 476万円 |
| 長女 田中結衣(大学3年・一人暮らしで仕送り) | 平成17年7月20日(21歳) | アルバイト給与165万円(飲食店A 140万円+学習塾B 25万円) | 91万円 |
誠さんの所得は、650万円÷4=162万5,000円、162万5,000円×3.2-44万円=476万円です。結衣さんは165万円-74万円=91万円で、62万円を超えるので扶養控除の対象ではなく、特定親族に当たります。
欄ごとの書き方(❶〜❸)
特定親族特別控除申告書の欄は、兼用様式の左下にあります。上から❶特定親族の氏名等、❷所得の見積額、❸控除額の順に書き、子が2人いる場合は2行目にも同じように書きます。
| 欄 | 記入例 | ポイント |
|---|---|---|
| ❶ 特定親族の氏名(フリガナ) | 田中 結衣(タナカ ユイ) | |
| ❶ 特定親族の個人番号 | (12桁) | 一定の要件の下で記載が不要な場合があります。勤務先に確認 |
| ❶ あなたとの続柄 | 子 | |
| ❶ 生年月日 | 平成17年7月20日 | 平成16年1月2日〜平成20年1月1日生まれが対象 |
| ❶ あなたと特定親族の住所又は居所が異なる場合の特定親族の住所又は居所 | ○○市△△町1-2-3 ○○ハイツ101 | 一人暮らしの子は下宿先の住所。同居なら空欄 |
| ❶ 非居住者である特定親族/生計を一にする事実 | (空欄) | 子が海外に住んでいる場合に○を付け、その年に送金した額を書きます |
| ❷ 特定親族の本年中の合計所得金額の見積額 | 910,000円 | 給与165万円-74万円。給与以外の所得があれば合算 |
| ❸ 特定親族特別控除の額 | 510,000円 | 下の「控除額の計算」の表で、90万円超95万円以下の欄 |
子が留学などで海外に住んでいる場合は、親族関係書類(戸籍の附票の写しと旅券の写しなど)と送金関係書類(その年に子あてに送金した記録など)を申告書と一緒に出すか提示します。扶養控除等申告書を出したときに親族関係書類を出していれば、そちらは不要です。
この申告書は、同じ用紙の基礎控除申告書(あなた自身の所得の見積額と基礎控除の額)とあわせて提出します。基礎控除の欄の書き方は基礎控除申告書の書き方【令和8年分】、配偶者の欄は配偶者控除等申告書の書き方【令和8年分】で解説しています。
子の年収別の控除額と、親の税金への影響
子の給与が159万円までは控除額63万円で扶養控除と変わらず、そこから197万円まで段階的に減ります。136万円を超えた瞬間に親の税金が跳ね上がる「壁」はなくなり、子が働いた分ほど親の負担が急に増えることはありません。
| 子の給与収入 | 子の所得 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|---|
| 136万円以下(扶養控除) | 62万円以下 | 63万円 | 45万円 |
| 136万円超159万円以下 | 62万円超85万円以下 | 63万円 | 45万円 |
| 159万円超164万円以下 | 85万円超90万円以下 | 61万円 | 45万円 |
| 164万円超169万円以下 | 90万円超95万円以下 | 51万円 | 45万円 |
| 169万円超174万円以下 | 95万円超100万円以下 | 41万円 | 41万円 |
| 174万円超179万円以下 | 100万円超105万円以下 | 31万円 | 31万円 |
| 179万円超184万円以下 | 105万円超110万円以下 | 21万円 | 21万円 |
| 184万円超189万円以下 | 110万円超115万円以下 | 11万円 | 11万円 |
| 189万円超194万円以下 | 115万円超120万円以下 | 6万円 | 6万円 |
| 194万円超197万円以下 | 120万円超123万円以下 | 3万円 | 3万円 |
| 197万円超 | 123万円超 | 0円 | 0円 |
| 子の給与収入 | 親の控除(所得税/住民税) | 控除による親の税の軽減(所得税率10%の場合) |
|---|---|---|
| 159万円以下 | 63万円/45万円 | 約10万9,300円 |
| 165万円(記入例) | 51万円/45万円 | 約9万7,100円 |
| 170万円 | 41万円/41万円 | 約8万2,900円 |
| 180万円 | 21万円/21万円 | 約4万2,400円 |
| 197万円超 | 0円 | 0円 |
記入例の結衣さん(165万円)の場合、親の税の軽減は159万円以下のときより約1万2,000円少なくなりますが、結衣さん自身の収入はそれ以上に増えています。一方で、子の給与が180万円を超えると軽減額は半分以下になり、197万円を超えるとゼロです。年末に向けてシフトを増やすかどうかを家族で話すなら、親の税の目安としては「159万円まではそのまま、そこから先は段階的に減る」と覚えておくと判断しやすくなります。
年収850万円超の親は「所得金額調整控除」も確認
給与収入が850万円を超える親は、子が扶養親族から特定親族に変わると、所得金額調整控除が受けられなくなることがあります。所得金額調整控除は「23歳未満の扶養親族」がいることが条件で、特定親族は扶養親族に含まれないからです。
- 所得金額調整控除の額は、(給与収入-850万円)×10%で、給与収入1,000万円以上なら上限の15万円です。
- ほかに23歳未満の扶養親族(16歳未満の子を含む)がいれば、引き続き受けられます。その場合は同じ用紙の「所得金額調整控除申告書」の欄に、その子について書きます。
- 夫婦ともに給与収入850万円を超えていれば、同じ子について夫婦の両方が受けられます(扶養控除と違い、どちらか一方という制限がありません)。
- 年末調整の対象となる給与収入が850万円以下なら、この欄は書かなくてかまいません。
たとえば給与収入950万円の親で、ほかに23歳未満の扶養親族がいない場合、子のアルバイトが136万円を超えると10万円の所得金額調整控除がなくなります。所得税率20%なら、所得税だけで約2万400円の負担増です。特定親族特別控除の63万円は受けられるので大きな損ではありませんが、「136万円を超えても親の税は変わらない」とは言い切れない人がいる点に注意してください。
税より大きい「150万円」── 健康保険の扶養
19〜22歳の子(配偶者を除く)が親の健康保険の扶養に入れる年収の基準は、150万円未満です。税の控除は197万円まで段階的に続きますが、健康保険の扶養は基準を超える見込みになった時点で外れ、子が自分で国民健康保険などに入ることになります。

写真:Uni.tk nishi/Wikimedia Commons(CC0)
- この150万円の基準は、令和7年10月1日以降の扶養認定から適用されています(それまでは130万円未満)。年齢は扶養認定日が属する年の12月31日時点で判定します。
- ここでいう年収は、税の「1月〜12月の合計」とは考え方が違い、今後1年間の収入の見込みで判断します。通勤手当なども含めるため、税の計算より金額が大きくなることがあります。
- 令和8年4月からは、労働条件通知書などで決まった賃金から見込まれる年収で判定する取り扱いも始まっています。
- 加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)によって、確認書類や手続きの細かな運用が異なるため、勤務先を通じて確認してください。
子のアルバイト収入が、税の基準(136万円・197万円)と健康保険の150万円のどこに当たるかは、KurashiQの年収の壁・扶養判定チェックで制度ごとに分けて確認できます。「健康保険の年間収入区分」で「19〜22歳・配偶者以外(150万円未満)」を選んでください。
子ども本人の税金も見ておきましょう。子の所得税は、給与だけなら年178万円まではかかりません(令和8年分の基礎控除104万円と給与所得控除74万円の合計)。住民税は所得税より低い年収からかかり、単身なら年収119万円を超えると課税されると案内している自治体もあります。勤労学生控除が使える場合はこの基準が変わるので、子の住む市区町村の案内で確認してください。
書き間違えやすいポイント
多いのは、子の所得が62万円以下なのにこの欄に書く、収入(額面)を所得の欄に書く、夫婦の両方で同じ子を書く、の3つです。どれも控除額の誤りにつながり、年末調整のやり直しや追加の納税が必要になります。
- 子の給与が136万円以下(所得62万円以下)なのにこの欄に書く → その場合は扶養控除等申告書の特定扶養親族です。両方には書きません。
- 「合計所得金額の見積額」に給与の額面を書く → 給与165万円なら所得は91万円です。
- 夫婦の両方の申告書に同じ子を書く → 特定親族特別控除を受けられるのは、どちらか1人です。
- 子が23歳になる年に書く → 平成16年1月1日以前に生まれた子は、令和8年分では対象外です。
- 掛け持ちのバイト先の分を足し忘れる → すべての勤務先の給与を合算します。
- 年末調整のあとに子の収入が見込みと違っていた → 控除額が変わる場合は、源泉徴収票が交付される翌年1月末日までなら勤務先で年末調整をやり直せます。それを過ぎたら確定申告で正しい控除額にします。
来年分の扶養控除等申告書で子をどう書くかは扶養控除等申告書の書き方【令和9年分】、年末調整全体の変更点は年末調整の変更点【令和8年分】でまとめています。
この記事のポイント
- 19〜22歳の子のアルバイト収入が136万円を超え197万円以下なら、親は特定親族特別控除申告書を書いて控除を受けます。
- 控除額は子の給与159万円まで63万円(扶養控除と同額)で、そこから段階的に減ります。税の「136万円の壁」はほぼなくなりました。
- 書く欄は氏名・個人番号・続柄・生年月日・所得の見積額・控除額。見積額は1月〜12月に支給される給与の合計から74万円を引いた額です。
- 給与収入850万円超の親は、子が扶養親族でなくなると所得金額調整控除を失うことがあります。
- 税とは別に、健康保険の扶養は150万円未満が基準です。子の働き方は、税よりこちらを先に確認しましょう。
よくある質問
扶養控除等申告書に子を書いていても、この申告書は必要ですか?
子の所得が62万円を超える見込みなら必要です。扶養控除等申告書は毎月の天引きのための書類で、特定親族特別控除の額は年末調整のこの申告書で確定します。
子が大学生ではなく、働いている19歳でも対象ですか?
対象です。学生かどうかは要件ではなく、年齢(19〜22歳)、生計を一にしていること、所得が62万円超123万円以下であることが要件です。
子が2人とも19〜22歳の場合は?
1行目と2行目にそれぞれ書き、控除額は1人ずつ表から求めます。勤務先は2人分の合計額で年末調整を計算します。
子どもの収入が197万円を超えたら、親はもう何もできませんか?
親は特定親族特別控除を受けられません(健康保険の扶養も、150万円未満の基準を超えた時点で外れています)。子自身は、自分で払う社会保険料などを控除して自分の税金を計算することになります。
年末調整に間に合わなかった場合は?
翌年に確定申告をすれば、特定親族特別控除を受けられます。
勤務先独自の様式や年末調整アプリを使う場合も、入力する項目と判定の基準は同じです。個別の判断は勤務先の給与担当者や所轄の税務署に確認してください。
公式情報・出典
- 国税庁「令和8年分 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書の記載例」(2026年10月6日確認)
- 国税庁「基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書及び所得金額調整控除申告書の受理と内容の確認(令和8年分 年末調整のしかた)」(2026年10月6日確認)
- 国税庁「昨年と比べて変わった点(令和8年分 年末調整のしかた)」(2026年10月6日確認)
- 国税庁「年末調整後に給与の追加払や扶養親族等の異動があった場合の再調整(令和8年分 年末調整のしかた)」(2026年10月6日確認)
- 国税庁「No.1177 特定親族特別控除」「No.1411 所得金額調整控除」(2026年10月6日確認)
- 国税庁「No.1180 扶養控除」(2026年10月6日確認)
- 総務省「個人住民税の基礎控除等について」(令和8年5月29日)(2026年10月6日確認)
- 北九州市「いわゆる「年収の壁」に関する令和8年度税制改正の主な内容について」(2026年10月6日確認)
- 福知山市「令和8年度住民税税制改正」(2026年10月6日確認)
- 日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」(2026年10月6日確認)
- 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」(2026年10月6日確認)
更新履歴
- 2026年10月6日:初版作成(国税庁の令和8年分記載例・年末調整のしかた・タックスアンサー、総務省・自治体の資料、日本年金機構の案内で数値を確認)
アイキャッチ写真:Kakidai/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)。本文中の写真の出典は各写真の下に記載しています。