「登記簿謄本を用意してください」と言われたのに、法務局の案内では「登記事項証明書」と書かれていることがあります。二つは登記されている事項を証明する書面として近い役割を持ちますが、公式上は元になる記録と作成方法が異なります。
現在の登記所はコンピュータ化されているため、通常目にする名称は登記事項証明書です。一方、紙などコンピュータで管理されていない登記簿を全部または一部謄写する証明書を、登記簿謄本・抄本といいます。
結論
登記事項証明書は、コンピュータ化された登記簿に記録されている事項の全部または一部を証明する書面です。登記簿謄本・抄本は、コンピュータ化に伴って閉鎖された登記簿など、コンピュータで管理されていない登記簿の写しを交付するものです。法務省によると現在すべての登記所がコンピュータ化されているため、通常請求するのは登記事項証明書です。
最終確認日:2026年10月3日/出典:法務省「商業・法人登記 Q&A」、旭川地方法務局「登記事項証明書(登記簿謄本)と登記事項要約書の違い」

登記事項証明書は法務局(登記所)で請求します(写真は福岡市中央区の福岡法務局)。写真:Hirho/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
まず確認したい要点
| 比較項目 | 登記事項証明書 | 登記簿謄本・抄本 |
|---|---|---|
| 元になる記録 | コンピュータ化された登記簿の記録 | コンピュータで管理されていない紙などの登記簿 |
| 作成方法 | 記録されている事項の全部または一部を証明した書面 | 登記用紙の全部を謄写した謄本、または一部を謄写した抄本 |
| 現在の見かけ方 | 現在の公式案内で主に使われる名称 | 従来からの呼び方として案内や依頼文に残ることがある |
| 共通する点 | 登記されている事項を公示するための証明 | 登記されている事項を公示するための証明 |
法務省は、登記事項証明書を「コンピュータ化された登記簿に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面」と説明しています。登記簿謄抄本は、コンピュータで管理されていない登記簿を全部または一部謄写して交付する証明書です。
今の名称は登記事項証明書と登記簿謄本のどちら?
法務省によると、現在は全ての登記所がコンピュータ化されています。登記情報がコンピュータで管理されている場合、その記録内容を証明する書面の名称は登記事項証明書です。
ただし、「登記簿謄本」という言葉が完全に消えたわけではありません。法務局の現行手続ページでも、交付請求書の名称に「登記事項証明書 登記簿謄本・抄本」と併記されています。依頼文や会話で従来の呼び方が使われることはありますが、正式な書類名は対象と現在の公式案内で確認します。
手数料は請求方法で変わります。法務省によると、2025年4月1日からの登記事項証明書の手数料は、書面請求で1通600円、オンラインで請求して郵送で受け取ると520円、オンラインで請求して窓口で受け取ると490円です。土地と建物の2通を取るなら、書面で1,200円、オンライン請求・窓口受取なら980円になります。
登記事項証明書と登記簿謄本は何が違う?
登記事項証明書は、コンピュータ化された登記簿に記録された事項を、書面として証明するものです。対象となる事項は全部の場合も一部の場合もあります。
登記簿謄本は、コンピュータで管理されていない登記簿について、一つの登記用紙の全部を謄写した証明書です。一部だけを謄写したものは登記簿抄本と呼びます。
つまり、日常的には近い目的の書類を指して使われることがありますが、公式の定義では「コンピュータ記録を証明するか」「紙などの登記簿を謄写するか」という作成方法に差があります。
全部事項と一部事項はどう違う?
二つの名称を比べるときは、「謄本」という言葉だけで全部事項証明書など特定の種類を自動的に決めないことが大切です。
法務省の説明では、登記事項証明書は記録事項の全部または一部を証明します。登記簿側では、登記用紙の全部を謄写するものが謄本、一部を謄写するものが抄本です。実際に必要とされる範囲や証明書の種類は、不動産登記か商業・法人登記か、提出先が何を求めているかで確認先が変わります。
同じ効力と説明される範囲
松山地方法務局は、登記事項証明書と登記簿謄抄本は作成方法が異なる一方、登記されている事項を公示するという同じ効力を持つと案内しています。
これは、どの依頼でも名称を読み替えてよい、記載内容が常に完全に同じ、という意味ではありません。書類の対象、種類、証明される範囲は、提出先の正式な案内と法務局の現行情報で確かめます。
登記事項要約書は証明書と同じ?
似た名称の「登記事項要約書」は、登記事項証明書と同じものではありません。旭川地方法務局は、登記事項証明書には登記官の証明が付される一方、要約書は内容が限定され、登記官の証明が付されないと説明しています。
法務局の手続ページも、登記事項要約書は証明書とは異なると明記しています。「登記事項」という語が共通していても、証明書と要約書は分けて確認します。
不動産登記と商業・法人登記を分ける
登記事項証明書は、不動産だけでなく会社・法人の登記でも使われる名称です。検索結果や依頼文に同じ言葉があっても、対象が土地・建物なのか、会社・法人なのかで公式ページと証明書の種類が異なります。
この記事では、不動産の所在・地番・家屋番号、所有権・抵当権などの内容や、会社・法人の代表者・役員・商号などの登記事項を読み解きません。対象を先に分け、各分野の法務局案内へ進むための用語整理に限定しています。
公式情報を確認する順番
- 依頼文の書類名をそのまま確認する。 「登記簿謄本」「登記事項証明書」「全部」「一部」「要約書」などの語を省略せず見る。
- 対象を確認する。 土地・建物の不動産登記か、会社・法人の登記かを分ける。
- 証明される範囲を確認する。 全部か一部か、証明書か要約書かを提出先の案内で確認する。
- 法務局の現行ページで正式名称を照合する。 呼び方だけから申請書や証明書の種類を推測しない。

写真:Higa4/Wikimedia Commons(CC0)
提出先の説明が「登記簿謄本」だけで曖昧な場合は、対象、必要な記載範囲、発行時期などを提出先へ確認してください。この記事は個別の書類選択を代行しません。
似た証明書名を整理する別の記事
戸籍の証明書にも「謄本」「抄本」という従来の呼び方があります。ただし、戸籍と登記は別の制度です。戸籍謄本と戸籍抄本の違いでは、全部事項証明書・個人事項証明書との名称対応を別記事で整理しています。
どの証明書を取ればよいか迷ったら?
依頼文に「登記簿謄本」とだけ書かれている場合は、対象が土地・建物か会社・法人か、全部事項か一部事項か、現在事項か履歴事項かを提出先に確認してください。
権利関係の読み方や登記の手続きそのものに迷う場合は、管轄の法務局の相談窓口か、司法書士などの専門家に相談してください。
この記事のポイント
- 登記事項証明書はコンピュータ化された登記記録の証明書。登記簿謄本は紙の登記簿の写しで、今は通常、登記事項証明書を請求する
- 登記事項要約書は登記官の証明が付かない別の書面
- 手数料は書面600円、オンライン請求・郵送520円、オンライン請求・窓口受取490円(2025年4月1日から)
よくある質問
登記事項証明書と登記簿謄本は同じですか?
登記されている事項を公示する証明という点では近い役割がありますが、公式上の作成方法は異なります。登記事項証明書はコンピュータ記録を証明し、登記簿謄本は非コンピュータ管理の登記簿を全部謄写した証明書です。
今はどちらの名称を使いますか?
現在の登記所はコンピュータ化されているため、公式案内で主に使われる名称は登記事項証明書です。ただし、従来の呼び方として「登記簿謄本」が依頼文や現行様式の併記に残ることがあります。
登記事項要約書も証明書ですか?
同じではありません。法務局は、要約書は内容が限定され、登記官の証明が付されない別の書面だと案内しています。
どの証明書を提出すればよいですか?
この記事では決められません。提出先へ、対象が不動産か会社・法人か、全部か一部か、証明書の正式名称は何かを確認し、法務局の現行案内と照合してください。
公式情報・出典
- 法務省「商業・法人登記 Q&A」(ページ上に更新日表示なし、2026年10月3日確認)
- 法務局「不動産登記のよくあるご質問等」(更新日2024年4月1日、2026年10月3日確認)
- 松山地方法務局「不動産登記に関するよくある質問」(更新日2024年6月3日、2026年10月3日確認)
- 旭川地方法務局「登記事項証明書(登記簿謄本)と登記事項要約書の違い」(更新日2020年12月3日、2026年10月3日確認)
- 法務局「各種証明書請求手続」(更新日2026年2月2日、2026年10月3日確認)
- 法務省「登記手数料について」(令和7年4月1日、2026年10月3日確認)
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