再就職手当は、雇用保険の基本手当を受けている人が、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した仕事に就いたときに支給される一時金です。支給額は基本手当日額×支給残日数×60%または70%(1円未満切り捨て)で、残日数が多いほど70%になります。この記事では、ハローワーク・厚生労働省の公式案内をもとに、残日数別の早見表、具体的な円の計算例、令和8年8月1日以降の上限額、そして再就職手当支給申請書(様式第29号の2)の欄ごとの記入例まで整理します。
30秒でわかる答え
- 計算式は基本手当日額×支給残日数×給付率。残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上3分の2未満なら60%(ハローワークインターネットサービス)。
- 例:基本手当日額5,000円・所定90日・残65日なら227,500円(70%)。同じ日額で残35日なら105,000円(60%)。
- 再就職手当用の基本手当日額には上限あり。令和8年8月1日〜令和9年7月31日は、離職時60歳未満6,745円・60歳以上65歳未満5,454円(毎年8月1日改定)。
- 申請は雇入日(または事業開始日)の翌日から起算して1か月以内。様式は再就職手当支給申請書(様式第29号の2)に受給資格者証などを添えて管轄ハローワークへ。
- 再就職手当を受けたあと、同じ職場で6か月以上働き、賃金が離職前より低い場合は就業促進定着手当の対象になることがあります。
2026年10月13日時点のハローワークインターネットサービス・厚生労働省Q&A・再就職手当のご案内(LL080801保02)で確認。支給可否・決定額はハローワークの審査によります。

写真:Suikotei/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
受給資格者証で確認した基本手当日額・所定給付日数・支給残日数を入れると、60%/70%の区分を自動判定して試算できます(支給可否は判定しません)。
再就職手当とは?いくらもらえる計算式
再就職手当は、基本手当の受給資格がある人が安定した職業に就き、就職日の前日までの失業認定後の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるときに支給される就職促進給付です。残日数を「全部使い切ってから就職する」より、早く就職して残日数の60%〜70%を一時金でもらうほうが、給料と合わせて手元に残るお金が多くなるケースがあります。
支給額の算式は次のとおりです(1円未満は切り捨て)。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上 → 基本手当日額 × 支給残日数 × 70%
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上(3分の2未満) → 基本手当日額 × 支給残日数 × 60%
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1未満 → 再就職手当の対象外
ここで使う「基本手当日額」は、受給資格者証に載っている額ですが、再就職手当の算定では別の上限がかかります(後述)。「支給残日数」は、就職日の前日までの失業認定を受けたあとに残っている基本手当の日数です。延長給付の残日数は、再就職手当の残日数には含めません。
所定給付日数別の早見表(60%・70%の分かれ目)
所定給付日数が分かれば、「何日残せば60%/70%になるか」は機械的に決まります。例として所定90日なら、残30日以上で60%、残60日以上で70%です。残29日だと再就職手当は出ません。
| 所定給付日数 | 60%になる残日数 | 70%になる残日数 |
|---|---|---|
| 90日 | 30日以上 | 60日以上 |
| 120日 | 40日以上 | 80日以上 |
| 150日 | 50日以上 | 100日以上 |
| 180日 | 60日以上 | 120日以上 |
| 210日 | 70日以上 | 140日以上 |
| 240日 | 80日以上 | 160日以上 |
| 270日 | 90日以上 | 180日以上 |
| 300日 | 100日以上 | 200日以上 |
| 330日 | 110日以上 | 220日以上 |
| 360日 | 120日以上 | 240日以上 |
自己都合などで給付制限がある人は、待期(原則7日)のあとの1か月間は、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介で就職したときだけ対象です。紹介以外の経路で就職するなら、その1か月を過ぎてからが対象になります。倒産・解雇などで給付制限がない人は、待期満了後なら就職経路は問いません。
円の計算例(基本手当日額5,000円・6,500円)
同じ基本手当日額でも、残日数が60%帯か70%帯かで支給額は大きく変わります。次の例はすべて架空の数字で、上限額の適用前(日額が上限以下)の算式です。実際の日額・残日数は受給資格者証と失業認定後の記録で確認してください。
| 例 | 基本手当日額 | 所定給付日数 | 支給残日数 | 給付率 | 再就職手当(算式) |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 5,000円 | 90日 | 65日 | 70% | 5,000×65×0.7=227,500円 |
| B | 5,000円 | 90日 | 35日 | 60% | 5,000×35×0.6=105,000円 |
| C | 6,500円 | 120日 | 85日 | 70% | 6,500×85×0.7=386,750円 |
| D | 6,500円 | 120日 | 45日 | 60% | 6,500×45×0.6=175,500円 |
| E | 5,000円 | 90日 | 80日 | 70% | 5,000×80×0.7=280,000円 |
| F | 6,500円 | 120日 | 40日 | 60% | 6,500×40×0.6=156,000円 |
例Aと例Bを比べると、同じ日額5,000円でも残日数が30日違うだけで約12万円の差になります。就職日を少し前倒しできるかどうかが、70%帯に入れるかの分かれ目になることがあります。

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基本手当日額の上限額(令和8年8月1日から)
再就職手当の算定に使う基本手当日額には上限があり、令和8年8月1日以降(令和9年7月31日まで)は、離職時の年齢が60歳未満で6,745円、60歳以上65歳未満で5,454円です。この上限は「毎月勤労統計」の平均給与額に応じて毎年8月1日に改定されます。受給資格者証の基本手当日額が上限を超えている人は、再就職手当の計算では上限額に置き換えます。
| 離職時の年齢 | 再就職手当用の基本手当日額の上限(令和8年8月1日〜令和9年7月31日) |
|---|---|
| 60歳未満 | 6,745円 |
| 60歳以上65歳未満 | 5,454円 |
上限がかかる計算例(架空):受給資格者証の基本手当日額が7,000円、離職時年齢45歳、所定90日、残65日の場合、再就職手当の計算では日額を6,745円に置き換えます。6,745×65×0.7=306,897.5 → 306,897円(1円未満切り捨て)。上限適用前の7,000×65×0.7=318,500円と比べると、約1.2万円少なくなります。
計算機には「上限適用後の基本手当日額」を入れてください。上限を超えている場合は、上の表の額に置き換えてから入力します。
支給要件は8つ。どれか1つでも欠けると対象外
残日数の条件を満たしていても、次の要件をすべて満たさないと再就職手当は支給されません。厚生労働省Q&A(Q39)とハローワークの案内では、おおむね次の内容が示されています。
- 就職日の前日までの失業認定後の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
- 1年を超えて勤務することが確実であると認められること(更新見込みのない短期契約などは対象外になりやすい)
- 待期満了後の就職であること(待期中の就職は対象外)
- 離職理由による給付制限がある場合、待期満了後1か月間はハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介による就職であること
- 離職前の事業主(資本・資金・人事・取引などで密接な関係にある事業主を含む)に再び雇用されたものでないこと
- 就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
- 原則として雇用保険の被保険者となる条件での雇用であること
事業を開始した場合も、一定の要件を満たせば再就職手当の対象になります。基本手当の受給手続そのものをしていない場合は、再就職手当も含めて各手当を受けられません。退職後の書類の順番は、雇用保険の確認ガイドもあわせてどうぞ。
再就職手当支給申請書の書き方【記入例】
申請に使うのは「再就職手当支給申請書(様式第29号の2・第82条の7関係)」です。雇入年月日(または事業開始年月日)の翌日から起算して1か月以内に、受給資格者証を添えて、原則として住居所を管轄するハローワーク(または地方運輸局)に提出します。郵送・電子申請が使える場合もあります。用紙はハローワークで受け取るか、ハローワークインターネットサービスの再就職手当支給申請書ページから印刷できます(A4・等倍印刷・OCR用の黒マークが欠けないこと)。
ここからは、次の架空の人物で欄を埋めます。実在の人物・会社・住所ではありません。
| 項目 | 架空の前提 |
|---|---|
| 申請者 | 見本 太郎(ミホン タロウ)、45歳 |
| 住所・電話 | ○○県○○市見本町1-2-3 見本マンション101/000-0000-0000 |
| 就職先 | 株式会社見本商事(架空) |
| 雇入日 | 令和8年10月1日 |
| 採用内定日 | 令和8年9月15日(受給資格決定日より後) |
| 雇用 | 期間の定めなし/雇用保険加入あり |
| 過去3年の再就職手当等 | 受けたことがない |
本人が書く欄(6〜10欄・19欄)
雇用された人は、本人が6〜10欄と19欄を書き、11〜18欄は就職先の事業主に証明してもらいます。事業を開始した人は、6〜12欄と19欄が中心です(※印の欄や1〜5欄などハローワーク記載欄は空欄のまま)。
| 欄 | 記入例(架空) | ポイント・間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 6.姓(漢字) | 見本 | OCR読み取りのため、枠からはみ出さない大きめの字で |
| 7.名(漢字) | 太郎 | 同上 |
| 8.郵便番号 | 000-0000 | 左詰めで記入 |
| 9.電話番号 | 000-0000-0000 | 市外・市内・番号を項目ごとに左詰め(案内の例どおり) |
| 10.申請者の住所 | 1行目:○○市見本町/2行目:1-2-3/3行目:見本マンション101 | 間違えやすい:1行目に都道府県名は書かない。丁目・番地は2行目、マンション名は3行目 |
| 19.過去3年の受給の有無 | ロ(いずれも受給したことがない)に○ | イに○だと支給要件に抵触しやすい。事実と違うと不正受給になる |
| 申請日・申請者氏名 | 令和8年10月10日/見本 太郎 | 申請書下部の申請文言の日付と署名 |
事業主が証明する欄(11〜18欄)
就職先に依頼する証明欄です。本人が勝手に埋めず、会社の担当者に書いてもらいます。ハローワークの案内では、特に12欄・13欄・17欄の不備が多いとされています。
| 欄 | 記入例(架空) | ポイント・間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 11.就職先の事業所 | 名称:株式会社見本商事/所在地・電話・事業所番号など | 雇用保険の事業所番号がある場合は記載 |
| 12.雇入年月日 | 令和8年10月1日 | いちばん間違えやすい:採用証明書の雇入日・受給資格者証の就職日スタンプと必ず一致させる |
| 13.採用内定年月日 | 令和8年9月15日 | 空欄禁止。受給資格決定日より前の内定だと支給要件を満たさない |
| 14.職種 | 営業事務 | 実際の職種 |
| 15.所定労働時間 | 例:1日8時間 など | 用紙の単位(時間・分)に合わせて記載 |
| 16.賃金月額 | 例:28万円 | 用紙の「万・千円」枠に合わせる |
| 17.雇用期間 | イ(定めなし)に○、またはロで更新条項・1年超見込みに○ | 間違えやすい:有期契約なら「1年を超えて雇用する見込み」の記載が必須になることが多い |
| 18.事業主の証明 | 証明日・事業主氏名(法人は名称と代表者)・印 | 事業主は資格取得届の提出も速やかに行うこと(注意書き) |

写真:Higa4/Wikimedia Commons(CC0)
間違えやすい欄と申請期限・必要書類
申請期限は「12欄の雇入日(または事業開始日)の翌日から起算して1か月以内」です。就職の申告をしただけでは申請完了ではないので、事業主の証明が戻ってきたら早めに提出します。審査には一定の時間がかかり、入金まで数週間かかることがあります(窓口案内の目安)。
- 就職日の不一致:本人申告の就職日、採用証明書、申請書12欄、受給資格者証のスタンプがずれていると受理できない
- 13欄(採用内定日)の空欄:受給資格決定前の内定かどうかを見る重要欄
- 17欄(1年超の雇用見込み):有期契約で見込みの記載がないと不備になりやすい
- 10欄の住所の書き方:都道府県を1行目に書いてしまう/番地とマンション名の行を間違える
- 週20時間未満など雇用保険に入らない契約:原則として支給要件を満たさない
窓口で案内される書類の組み合わせは人によって違いますが、よくあるのは受給資格者証、採用証明書、再就職手当支給申請書、離職前事業主との関連についての証明書、失業認定申告書などです。必要な書類のチェックリストは、就職申告時にハローワークから渡される案内に従ってください。
就業促進定着手当も使える?
再就職手当を受けた人が、同じ再就職先で6か月以上雇用され、その6か月間の賃金の1日分が離職前の賃金日額より低い場合に、就業促進定着手当を受けられることがあります。算式の考え方は「(離職前の賃金日額 − 再就職後6か月の賃金の1日分)× 賃金支払いの基礎となった日数」で、上限は基本手当日額(再就職手当と同じ上限あり)×再就職手当前の支給残日数×20%です。再就職手当の対象だった事業所を6か月未満で辞めた場合は対象外です(厚生労働省Q&A Q43)。
この記事のポイント
- 再就職手当=基本手当日額×支給残日数×60%または70%(1円未満切り捨て)。残日数が所定の2/3以上なら70%、1/3以上なら60%。
- 例:日額5,000円・所定90日・残65日→227,500円。日額6,500円・所定120日・残85日→386,750円。
- 再就職手当用の日額上限は令和8年8月1日から60歳未満6,745円・60〜64歳5,454円(〜令和9年7月31日)。
- 申請は様式第29号の2。雇入日の翌日から1か月以内。12欄・13欄・17欄の不一致・空欄に注意。
- 再就職後6か月で賃金が下がった場合は就業促進定着手当も確認。
よくある質問
残日数が3分の1以上なら必ずもらえますか?
いいえ。残日数以外にも、待期・1年超の雇用見込み・離職前事業主との関係・受給資格決定前の内定でないことなど、複数の要件をすべて満たす必要があります。最終的な可否はハローワークが審査します。
基本手当を全部もらうより、再就職手当のほうが得ですか?
残日数の60%〜70%しか手当としては出ませんが、就職後は給料が入るため、トータルの収入では早期就職+再就職手当のほうが多くなることが多い、と厚生労働省も説明しています。実際の損得は給料額・残日数・就職日によります。
受給手続前に就職が決まった場合は?
基本手当の受給手続をしていないと、再就職手当も含めて各手当は受けられません(厚生労働省Q&A Q42)。就職前でも、受給要件を満たすなら先にハローワークで求職申込みと受給手続を検討してください。
申請してから入金までどのくらいですか?
申請書受理後に審査があるため、一定の時間がかかります。電話では個人の審査状況は答えられないことが多く、確認は本人確認書類を持って窓口で行います(厚生労働省Q&A Q41)。目安として数週間かかる、とするハローワーク案内もあります。
この記事は、厚生労働省・ハローワークの公表資料をもとにした一般的な情報です。支給可否や決定額は、住居所を管轄するハローワークの審査によります。
公式情報・出典
- ハローワークインターネットサービス「就職促進給付」(2026年10月13日確認)
- ハローワーク「再就職手当のご案内」(LL080801保02、2026年10月13日確認)
- 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q38〜Q43(2026年10月13日確認)
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和8年8月1日から~」(就業促進手当の上限額:60歳未満6,745円・60〜64歳5,454円、2026年10月13日確認)
- ハローワークインターネットサービス「再就職手当支給申請書」(様式第29号の2の印刷注意・記載注意、2026年10月13日確認)
- 三重労働局掲載「再就職手当支給申請書(様式第29号の2)」(欄構成の確認用、2026年10月13日確認)